予報

明日、雨が降るらしいと聞いた。 そして僕は明日の朝、それを忘れるだろう。 第一、こんなに今日が晴れているのに、明日の天気についての記憶など どこに結びつけておくのだろう。 駅を降りれば、小さな子どもは同じところを小さな自転車で走り回り、 女子高…

白蛇

珍しく三日連続で雪が降る。 温暖化なんていうのが嘘のようだが、 嘘なのかもしれないし、そうでないのかもしれない。 ダイナミックな大気の流れは統計的な分析手段で推し量れば 多少の乱数の乱れも収束するように考えるのは所詮、 人間という生き物のスケー…

1-2

部屋に入ってそのことを彼女に告げたところ そんなのあったっけ、とのたまう。 挙げ句に今日は仕事見つかったか、とすでに時候の挨拶めいたことを言う。 相手のほうからは時候の挨拶程度の気楽さであるのに、 いまだにこれに対する適当な挨拶が見当たらない…

1-1 無題

影が差している。 俺から影が差しているのは分かっている。 アスファルトの隙間に雑草が 花ともつかない花を咲かせているのを見て足を止めたものの それが彼らの成長を阻害しているのではないかと一瞬気にかけてしまい どんな花で何色であったかも覚えられぬ…